読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ポケットモンスターSPECIAL 3巻 38話 164pの秒数

ポケモン 漫画

少しは資料性のありそうな文章も書く。

ポケットモンスターSPECIAL第3巻164pの「のこり○秒」という秒数カウントについて。
 
 
 
 
ポケスペはシナリオと作画が分業で3誌縦断連載という特殊な発表方法をとっている為か、単行本になる際に雑誌掲載版から変更された部分が非常に多い。特に台詞の変更は数え出したらキリがないほどだ。それらの多くはファンサイトで紹介されている。
 
 
マルマインはすばやさは低いが、】
また、台詞の修正は単行本化の際だけではなく重版される際にも行われている。
最も有名なのは3巻27pのマチスの台詞だろう。
 
〈初版〉

f:id:nymphkei:20170114233727j:plain

 
〈2版目?以降〉

f:id:nymphkei:20170114233729j:plain

 
ちなみにポケモンブーム真っ盛りのころ、マルマインを育成したことがなかった僕は上記のポケスペの台詞を鵜呑みにして友人の前で「マルマインって素早さ低いよね」と大ボラを吹かし、大恥をかいた記憶がある。
 
初版におけるミスというと、他には「パルシュン」や「ふぶけ」などの誤植も有名か。
 
 
 
【のこり5秒】
単行本3巻には重版される際に変更された点がもう一つある。
サカキ戦、38話ラストの10万ボルトを放つシーン。初版には164〜165pの見開きに「のこり○秒」という秒数が書かれていない。
 
〈初版〉
f:id:nymphkei:20160511034927j:image 
 
〈2版目?以降〉
f:id:nymphkei:20160511034959j:image
 
 
しかし、38話が初めて世に出た「小学四年生」1998年5月号の同シーンには、実は秒数が書かれているのである。サカキの台詞も微妙に違う。
 
f:id:nymphkei:20160511035131j:image
 
…つまり重版によって書き足されたかに見えた秒数は、初出時には既に存在し、初単行本化の際に一旦消されたものだったのだ。
 
 
 
 
【初版で秒数が消された理由は?】
なぜ初単行本化の際に秒数が消されたのだろうか?
見開きの次のページ、166pに手がかりがあると考えられる。
 
〈単行本(初版も同じ)〉

f:id:nymphkei:20170114233733j:plain

f:id:nymphkei:20170114233739j:plain

 
〈雑誌掲載版〉

f:id:nymphkei:20170114233742j:plain

f:id:nymphkei:20170114233745j:plain

 
単行本では
レッド「エネルギー集中はボールの中ですましときゃあいい!
サカキ「…ま…さか…‼︎数万ボルトの電気が流れるボールを…つかんでいられるはずが…」
となっているが、雑誌掲載版では、
レッド「エネルギー集中はボールの中ですましとけば1秒速くなる‼︎」
サカキ「…ま…さか…‼︎その差を生みだすためとて、数万ボルトの電気が流れるボールを…つかんでいられるはずが…」
となっている。
 
雑誌掲載版はかなり秒数にこだわった台詞となっている。ボールから出現するまでに1秒、エネルギー集中に2秒、同時にやれば1秒短縮できる…というわけだ。見開きの「のこり○秒」というカウントもこの時間に対応している。
時間短縮の説明は…まあ、確かにそうなのだが…何というか…考えすぎてドツボにハマってる感じというか、人間の台詞らしくないというか……はっきり言ってクドい!真斗に渡されたシナリオに進行表でも書かれていたのだろうか。
ボールから出現するのとエネルギー集中を同時にやって1秒短縮とあるが…開く前からエネルギー集中してるなら2秒まるまる短縮されるのではないか?1秒早くなって勝てたということは、ニドクインの毒針がレッドに達する時間は4秒以上5秒未満ってことなのだろうか?コンマ数秒の差の攻防、というのは確かにかっこいいが…ボールから既に出ているニドクインの毒針にそんな時間がかかるのか…?
 
ぶっちゃけそこまで厳密に書かなくても、エネルギー集中が早く済んだことさえ伝わればいい。ここが一番重要で、164pのサカキの台詞で間に合っている。…よって、164pの秒数と166pの台詞が修正された理由は、説明的すぎて不自然になっている、と判断されたからではないのか?
 
しかし、それならなぜ重版の際に164pの説明的な秒数カウントが復活したのだろうか?雑誌掲載版の、秒数がページ全体を囲い込むように配置された見開きの雰囲気も捨てがたいと判断されたのだろうか…?だとすれば、秒数の意味が微妙に変わってくる。より演出的な意味の比重が大きくなる。
 
 
 
 
余談だが、僕はこのレッドvs.サカキ戦がポケスペのバトルの中で一番好きだ。
大爆発は室内では使えないという漫画演出向きの調整、足場を崩す…等の過去の話とのリンク、ゲームの断片的なイベントを再解釈して一筋にまとめ上げたシナリオ、常に一手先を行っていた相手を最後の最後で打ち負かす痛快さ(しかも相手が得意なスピード戦で!)、絶縁グローブの見事な伏線回収、サカキのどこか父性を感じる大物感、ボール開閉スイッチの破壊、トレーナーへの直接攻撃、ニョロの噛ませっぷり、そして最後のジョジョネタ…。ポケスペの醍醐味が全て詰まっている!…と言ってしまうのは流石に過言か。
ボールのまま移動するピカなど、ツッコミどころはいくつかあるのだが…。そんなのカッコよければいいんだよ!と言いたくなるほど少年漫画的快楽が次から次に押し寄せてくる。屋内バトルなのに数コマで状況がダイナミックに変化し、読む側の気持ちも揺すぶられる。ついレッドを応援したくなる…。
 
 
 
 
【まとめ】
 
ver.1(秒数アリ)
f:id:nymphkei:20160511035131j:image
ver.2(秒数ナシ)
f:id:nymphkei:20160511034927j:image
ver.3(秒数アリ)
f:id:nymphkei:20160511034959j:image
 
 
おわり
※5月15日夜に追記、修正
 
 
 

 

 

 

ポケットモンスターSPECIAL (3) (てんとう虫コミックススペシャル)

ポケットモンスターSPECIAL (3) (てんとう虫コミックススペシャル)