太宰治の小説を初出順に並べました

海王社が日本文学の文庫本を出しているが、ラインナップは太宰ばかり。若い人に人気なのか?

 

 

現在手軽に手に入るレーベルの中で、ほとんどの作品を収録しているのは新潮文庫だけ。しかしどの作品がどの巻に収録されているのかよく分からない状態である。

資料用に、小説を初出順に並べた上で収録されている巻の番号を振ってみた。

 

 

書簡、随想、批評、初期作品は対象外にしている。そうすると『もの思う葦』と『地図』に収録されている作品の大半が抜け落ちることになるが、煩雑になりすぎるのでやむなし。

以下の目録はユリイカ太宰治特集号を参考にした。

 

 

①晩年 ②斜陽 ③ヴィヨンの妻 ④津軽 ⑤人間失格 ⑥走れメロス ⑦お伽草紙 ⑧グッド・バイ ⑨二十世紀旗手

⑩惜別 ⑪パンドラの匣 ⑫新ハムレット ⑬きりぎりす ⑭もの思う葦 ⑮津軽通信 ⑯新樹の言葉 ⑰ろまん燈籠 ⑱地図

 

1933 2月 ①列車
    3月 ①魚服記
    4月 ①思ひ出 (『海豹』4、6、7月号で発表)

1934 4月 ①葉
    7月 ①猿面冠者
    10月 ①彼は昔の彼ならず
    12月 ①ロマネスク

1935 2月 ①逆行 (蝶々、決闘、くろんぼ の3編で構成)
    5月 ①道化の華
    7月 ①玩具
    7月 ①雀こ
    9月 ①猿ケ島
    10月 ⑥ダス・ゲマイネ
    10月 ①盗賊 (後に「逆行」の一編として加えられる)
    12月 ①地球図

1936 1月 ①めくら草子
    4月 ①陰火
    5月 ⑨雌に就いて
    7月 ⑨虚構の春
    10月 ⑨狂言の神
    10月 ⑨創世記
    10月 ⑨喝采

1937 1月 ⑨二十世紀旗手
    3月 ⑱あさましきもの
    4月 ⑨HUMAN LOST
    10月 ⑬燈籠

1938 9月 ⑥満願
    10月 ⑬姨捨

1939 2月 ⑯I can speak
       2月 ⑥富嶽百景 (『文体』2、3月号で発表)
    3月 ⑬黄金風景
    4月 ⑥女性徒
    4月 ⑯懶惰の歌留多
    5月 ⑯火の鳥新樹の言葉、花燭、愛と美について、秋風記 (初出:書き下ろし短編集『愛と美について』。「火の鳥」は未完)
    6月 ⑯葉桜と魔笛
    8月 ⑯八十八夜
    9月 ⑮座興に非ず
    10月 ⑯美少女
    10月 ⑬畜犬談
    10月 ⑮ア、秋
    10月 ⑮デカダン抗議
    11月 ⑬おしやれ童子
    11月 ⑬皮膚と心

1940 1月 ⑯俗天使
    1月 ⑯兄たち (初出時の作品名は「美しい兄たち」)
    1月 ⑬鷗
    1月 ⑯春の盗賊
    1月 ⑮女人訓戒 (初出時の作品名は「短片集」)
    1月 ⑫女の決闘 (『月刊文章』1~6月号に連載)
    2月 ⑥駆込み訴へ
    3月 ⑯老ハイデルベルヒ
    4月 ⑯誰も知らぬ
    4月 ⑬善蔵を思ふ
    5月 ⑥走れメロス
    6月 ⑫古典風
    6月 ⑦盲人独笑(『若草』7~12月号で連載)
    7月 ⑫乞食学生
    9月 ⑮失敗園
    10月 ⑮一燈
    11月 ⑬きりぎりす
    12月 ⑰ろまん燈籠(『婦人画報』12月号、翌年1、3~6月号で連載)

1941 1月 ⑥東京八景
    1月 ⑰みみづく通信
    1月 ⑬佐渡
    1月 ⑦清貧譚
    2月 ⑰服装に就いて
    5月 ⑮リイズ
    6月 ⑰令嬢アユ
    6月 ⑬千代女
    7月 ⑫新ハムレット (長編。書き下ろし)
    11月 ⑬風の便り (別々に発表された「風の便り」「秋」「旅信」の3編が後に単一作品に再編)
    12月 ⑰誰

1942 1月 ⑰恥
    1月 ⑰新郎
    2月 ⑰十二月八日
    2月 ⑱律子と貞子
    5月 ⑬水仙
    6月 ⑪正義と微笑 (長編。書き下ろし)
    6月 ⑫待つ
    7月 ⑰小さいアルバム
    10月 ⑬日の出前 (初出時の作品名は「花火」。『文芸』十月号に発表後、時局に不適との理由で全文削除される)
    12月 ⑰禁酒の心

1943 1月 ⑥故郷
    1月 ⑮黄村先生言行録
    4月 ⑰鉄面皮
    5月 ⑱赤心
    6月 ⑥帰去来
    9月 ⑩右大臣実朝 (長編。書き下ろし)
    10月 ⑮不審庵
    10月 ⑰作家の手帖

1944 1月 ⑰佳日
    1月 ⑦新釈諸国噺「裸川」
    3月 ⑰散華
    5月 ⑰雪の夜の話
    5月 ⑦新釈諸国噺「義理」
    8月 ⑰東京たより
    8月 ⑮花吹雪
    9月 ⑦新釈諸国噺「貧の意地」
    10月 ⑦新釈諸国噺「人魚の海」
    11月 ⑦新釈諸国噺「女賊」
    11月 ④津軽 (長編。書き下ろし)

1945 1月 ⑦新釈諸国噺 (単行本化の際、「大力」「猿塚」「破産」「赤い太鼓」「粋人」「遊興戒」「吉野山」が書き下ろしで発表)
    4月 ⑦竹青
    9月 ⑩惜別 (長編。書き下ろし)
    10月 ⑦お伽草紙 (書き下ろし短編集。「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」で構成)
    10月 ⑪パンドラの匣 (長編。『河北新報』10月号~翌年1月号で連載)

1946 1月 ⑮庭
    1月 ⑮親という二字
    2月 ⑮嘘
    2月 ⑱貨幣
    3月 ⑮やんぬる哉
    4月 ⑧十五年間
    5月 ⑮未帰還の友に
    6月 ⑧冬の花火
    6月 ⑧苦悩の年鑑
    7月 ⑮チヤンス
    9月 ⑧春の枯葉
    10月 ⑮雀

    11月 ⑧たづねびと
    11月 ⑧薄命
    12月 ⑧男女同権
    12月 ③親友交歓

1947 1月 ③トカトントン
    1月 ⑧メイリイクリスマス
    3月 ③母
    3月 ③ヴィヨンの妻
    4月 ③父
    5月 ⑮女神
    7月 ⑧フォスフォレッセンス
    7月 ⑧朝
    7月 ②斜陽 (長編。『新潮』7~10月号で連載)
    10月 ③おさん

1948 1月 ⑮犯人
    1月 ⑧饗応夫人
    1月 ⑮酒の追憶
    3月 ⑧美男子と煙草
    3月 ⑧眉山
    4月 ⑧女類
    4月 ⑧渡り鳥
    5月 ③桜桃
    6月 ⑤人間失格 (長編。『展望』6~8月号で連載)
    6月 ⑧グッド・バイ(未完の長編。『朝日新聞』6月21日号、『朝日評論』7月号に発表)
    8月 ③家庭の幸福